矯正に関するQ&A-静岡市の矯正歯科なら「かたやま矯正歯科」

矯正に関するQ&A

矯正治療について

矯正相談では、症状と治療方針の概略をお話しします。しかしこれらは当然ながら可能性に過ぎません。

ほとんどの不正咬合は、いろいろな症状が複合しています。目につく症状が最重要とは限りません。矯正治療ではX線でわかる骨格のデータ、個々の歯および歯列の状態、子どもでは成長発育状態の数値、などの検査データを得て初めて具体的な症状を確定し、治療方針を出すことができます。

矯正治療は医療です。従ってできるだけ精密な資料をもとに計画し、途中の臨機応変な対処が必要です。それには十分なトレーニングと経験が求められます。

特に重要なのは、途中および終了時について可能な限り正確な見通しをもつことです。これが難しいのです。ドクターがいかなる見通しを有しているのか、よくお聞きになることが必要でしょう。

床矯正とは、取り外しできるプラスチック製の装置を用いる方法です。別段特別な治療法ではありません。矯正専門医は、数ある方法の一種として日常的に使いこなしています。床矯正で重要なのは、限界を知って使うことです。

成長発育に影響させることが主目的ですから、子どもにはかなり効果的です。しかし他の装置の方が良いことも多くあります。また、床矯正だけでは永久歯をきちんと並べることはできません。

成長発育が期待できない大人では、極めて限定的な効果しか出ません。従って補助的にしか使えないのです。

矯正治療は相談(初診)から始まります。診療所によって違いますが、有料相談と無料相談があります。無料の方が良いと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

無料相談には何人もの方が来られ、あるいは診療の合間に行うため、十分な時間をお取りできないのです。相談にみえる皆さんは、いわば矯正初心者です。ドクターがよく聴き取り、よく診察し、画像を用いてわかりやすい説明をするためには、どうしても最低30分から1時間程度は必要です。

抜歯の必要性などの重要問題はもちろん、その他についても質問しながらよく理解し、満足いく相談とするためには、やはり時間が必要です。無料相談は大まかな方向は得られますが、比較すべきその他の選択肢は隠れてしまうことがどうしてもあるのです。

日本人には不正咬合の人が多く、矯正治療が必要です。しかし時間と費用がかかる点が悩ましいところです。では、やらないとどうなるか。通常はそのままです。生命に関わるわけではありません。

しかし他の医療と同じで、矯正治療の目的は健康です。気持ちの健康も入ります。生活するなかで十分に健康を保ち、快適な日々を望むなら、やはり必要な治療でしょう。

「装置なしでできるわけがない」と思われるでしょう。ところがあるのです。前歯と奥歯のみ永久歯の時期に、乳歯をある順序で抜いていき、最後に小臼歯を抜きます。これで全体に並びます。なかなか悪くない結果もあります。

ただし条件は厳しく、歯の大きさ、上下の関係が相応の範囲内でなければなりません。読みが難しいのです。また、永久歯を抜歯する治療法であることは大きな欠点です。このような理由で、最近はあまり行われなくなりました。

インターネットを見ていると、矯正治療関係の情報が多くあります。インプラント矯正、**システム、床矯正その他など。

矯正治療とは、アンカー(しっかり動かない部分)から目的の歯に力を加え、必要量の移動をさせる治療です。インプラント矯正とは、顎の骨に鋲を打ってアンカーとするだけで、他の部分はまったく普通の矯正治療です。歯が動く速度に変わりはなく、一部の特殊なケース以外はほとんど不要です。

また、矯正装置として最高の性能のものは、すべての歯を同時に動かすエッジワイズ装置であることに議論の余地はありません。その他の新装置は簡便さを追求したもので、装置としての性能はかなり低いです。情報に惑わされずにしっかりした装置で治療を受けていただくこと、それが成功への早道です。

2006年11月の東京国際女子マラソンで土佐礼子さんが優勝しました。土佐さんは先年より矯正歯科治療を始めていたそうです。確かに写真を見ると歯に装置がついています。そして、記事には「噛み合わせが良くなったせいで良い影響があった」とありました。

スポーツに悪影響がないだろうか、と心配される方が時々おられます。その都度誤解であることをご説明するのですが、土佐さんのおかげでこの誤解は解けたのではないでしょうか。むしろ、噛み合わせが良くなりそれだけ力が出る、ということなのです。矯正医としては嬉しい限りです。

矯正治療を行うとき、口元の美しさを考えない人はいないでしょう。ドクターももちろんです。治療にあたって考えなければならない要素は、噛む能力の回復をはじめ多くありますが、美しさは忘れてはならない要素です。

矯正治療では、Eラインという基準があります。鼻の先端とオトガイを結んだ直線ですが、この内側に上下口唇が入っているのが良いと言われます。しかし、日本人ではこのような人は滅多にいません。Eラインにこだわるのは間違いでしょう。美しさの判定は大きな幅がありますが、まずは噛む機能が十分な状態で実現される美しさを目指すべきかと思います。治療を受ける方々の求めるところもここにあるといつも感じています。

矯正治療と美容整形の違いが意外と理解されていないようです。美容整形は、一重まぶたを二重にするなど、健康な状態を別の健康な状態に変えるのが基本と思われます。

しかし歯の矯正治療は、常に不正咬合という不健康な状態を健康な歯並びに変えます。つまり、病気の治療が基本です。ただし、患者さんから見れば、矯正治療とは美しくない状態を美しい歯並びにすることです。

実は、これはほぼ同じことを言っているのです。つまり見た目が美しい歯並びとは、実はよく機能する健康な歯並びなのです。美しさを求めることで健康を求めることになるのです。従って、矯正治療はやはり本質的に健康を目指す治療と言うべきであり、美容整形とは異なると言うべきでしょう。

歯の状態について

自分あるいはお子さんが不正咬合らしいと思ったとき、まず気になるのは、前歯が出ている、八重歯、受け口などの症状かと思います。

それらの症状も重要ではあるのですが、もっと重要なのは上下の奥歯の関係です。上の奥歯が下よりやや後ろにあるか、よく見てください。

さらに重要なのは、上下の顎の骨の大きさ、位置関係です。永久歯全部を収容できる大きさか、前後左右の位置関係に異常はないか。ただしこれは、よほど熟練しないとわかりません。

意外と多いケースです。正しい噛み合わせは、上下の歯の本数が揃っていることが前提です。その前提を欠くわけですから、矯正治療としてはやや大変です。もともと歯が大きいなど、抜歯する方が良いケースは比較的楽です。ただし、どの歯を抜くかは考えなければなりません。

歯が小さいなど本来抜歯ケースとしたくない場合でも、本数を合わせるために抜歯せざるを得ないことがあります。やや難しい治療です。ない歯のスペースを空け、抜歯ケースとしないこともあります。この場合でも、ない歯の部分を人工のもので埋めなければなりません。普通のケースなら不要ないろいろな配慮が必要なのです。

就職面接は短い時間で決まってしまうのですから、人柄も能力も外見も総動員して判断するしかないでしょう。当事者としては本当に気を遣うと思います。

以前テレビで就活問題の番組を見たとき、驚いたのは登場した若者達が皆、歯並びがとても悪いことでした。話す度にとても目立つのです。影響したのでは?と思えるほどでした。

現在は就活を意識して歯並びを治す人が多くいます。今の社会では、たとえ矯正装置がついた状態でも健康観が高度であると評価され、面接では好感度だと思います。

不正咬合への関心度は人により大差があるようです。はっきりわかる受け口の中学生を連れて来られ「別段変とは思わなかった」とあっさり言われるお母さんもおられます。気がつかなければ仕様がないかもしれません。しかし不正咬合がもたらす健康への害(生理的、心理的)は、気がついてみると深刻なものです。成熟した社会ほど高い度合いの健康を求めます。日本社会も、すでに高度の健康観を持っているのです。

歯を抜かないで矯正できるケースは少なくありません。しかし不正咬合が多い日本人は、親知らずまで存置できるケースはそう多くないのです。小臼歯抜歯ケースでも、親知らずまで抜くことが多くあります。いずれも、そのまま放置すると他の歯の並びを阻害し、全体の咬合を壊す可能性があるからです。ただし例外的に、親知らずが普通に生えそうな場合のみ抜きません。以上の意味で、親知らずは抜くケースの方が圧倒的なのが現実です。

日本人は骨に余裕がない場合が多く、また親知らずは形や内部構造に問題が多く、長期的に頼りになる歯とはいえません。また、現在の矯正装置でも第3大臼歯まで3本の大臼歯を動かすパワーはないのです。ただし第2大臼歯(12才臼歯)を欠いている場合や、やむを得ず抜いた場合などは代替に使います。この場合、観察期間は長くなります。

現代は食事が柔らかいものばかりになったので、顎が細くなり、歯並びが悪くなっているという説明をよく聞きます。でもこれは間違いなのです。顎骨の大きさが変化したのではなく、実は歯の大きさが大きくなっているとの報告がありました。これを肥満歯などと呼ぶ人もいます。栄養が良くなった結果でしょう。

当院では歯の大きさは常に計測していますが、確かに平均値以上の大きさの歯が圧倒的多数です。その事実の上に顎骨の小さいことが加わって、歯が溢れているというべきでしょう。

悪い歯並びの原因は、本当のところはよくわかっていません。しかし、日本人には叢生が多く、欧米人には少ないなどの事実、また祖父母、両親、子どもと歯並びが似てくることなどからは、やはり生まれつきの骨格が大きな要因というべきでしょう。また、歯の大小にも民族、家系的特徴が見られます。つまり、骨格および歯の大きさに民族的な傾向がまずあって、そこに遺伝的な傾向が加わり、さらに個々人のバリエーションも生じて、それぞれの悪い歯並びが生じてくるのです。

この他、指しゃぶり、頬杖などの外力も、過度になると悪い歯並びの一要因となることがあります。でも第一には、いわば神様の設計図とでもいうべき上記の事情が大きいことをご理解ください。

矯正では、力を加えると歯が移動します。治療経験者なら、自分の歯がいつの間にか移動してスペースが空いたり、他の歯と並んできたりして、驚いた経験がおありと思います。

実は、歯の根っこ(歯根)の周囲にある現象が起こるのです。一定以上で方向が決まった力が歯に加わると、歯根周囲の骨に特別な細胞が生じます。歯が移動する方向の骨には破骨細胞が、反対側に生じた空洞には造骨細胞が現れます。つまり移動する方向では細胞が骨を食べて空洞を作り、反対側では骨が作られて生じた空洞が埋められていくのです。その結果、歯の位置が変化します。この繰り返しで歯が動いていくのです。

そして、動く方向と距離を、ワイヤーとエラスティックでコントロールするのです。正確なコントロールには、緻密な計算と多くの経験が必要です。矯正治療の特殊性と難しさはここにあり、矯正に専門医が必要な理由もこの難しさにあります。

矯正装置について

目立たない矯正装置の代表は、歯の裏側からの装置です。しかし、使用感が悪い、費用がかなりかかる、力が弱いので治療期間が長くなる、などで今ひとつ普及しません。普通の表側の装置も工夫されています。ただしその多くは目立ちにくくするためにコストが使われてしまい、材質がやや劣るため、歯を動かす能力、耐久性など、装置としての性能にやや問題があります。その中でセラミック製の装置は問題が少なく、お得な装置でしょう。

主役はブラケットです。これは、歯に接着する小さな部品です。表面の溝でワイヤーの力を受け、歯を動かします。この部品は、硬くて変型しないことが必要です。同時に小さいこと、目立たないこと、外しやすいことも必要です。最も高性能なのは金属ですが、見た目が問題。そこで現在は、セラミックやレジン製がよく使われます。これらは強度で劣るため、やや大きくなります。また最後に外すとき、やや外しにくくなります。

ワイヤーはブラケットに通す針金です。この力で歯が動きます。弾性が必要ですが、強すぎてはだめ。程良い弾性と塑性が合体しなければなりません。いろいろな分類がありますが、まずは材質による区別。ステンレス系はよく使われますが、やや強く脆い感じがあります。お勧めできるのは希土類(レアアース)系のものです。やや高価ですが、やはりこれでしょう。チタン系のものは形状記憶性能が素晴らしく、補助的によく使います。

顎外装置とは、お口の外に主たる部分が見える装置です。出っ歯、受け口でよく使います。お口の中で、前歯ないし奥歯に付いた金具に接続します。その目的は、頭蓋全体を支点にして、歯の位置および顎の骨を変化させることです。

使用時間は、経験的に約14時間/日といわれています。実際、7時間くらいになると動きはわずかです。もちろん個人差は大きく、子どもは動きやすく、大人でも動きやすい人とそうでない人がいます。効果は大変大きいものです。家でだけ使用します。

矯正装置のうち、赤いプラスチックでできているものがレジン製装置です。この管理は、外したときは必ずケースに入れる、落としたり踏んだりしない、清潔に努めるといった程度です。だんだん汚れが目立ってきたら、入れ歯洗浄剤の使用は構いません。ただし、熱湯使用は避けてください。手が何とか入るくらいの熱さなら良いですが、それ以上では変型します。

歯に接着したブラケットの溝にはまり込み、歯を三次元で動かす原動力がワイヤーです。見た目重視の白色など、色々な種類があります。金色のものもありますが、材質がやや低質で性能に欠けます。また、治療初期しか使えません。

性能が高いものはやはり金属色です。当院を含めほとんどの矯正専門医では、性能を重視した材質のワイヤーを使用しています。

ブラケットは直接歯に付けるものなので、最も目立ちます。性能からいうと金属製が最高です。形が小さく、強靱でワイヤーの力を最も歯に伝える感じがします。でも見た目は金属の色。そこで、見えにくいブラケットがいろいろ開発されています。セラミック製、レジン製が主ですが、強度を保つため外形が大きいきらいがあります。でも色は確かに見えにくい。

ドクターとして今まであれこれ使用しましたが、どれも一長一短。何種類か用意して症状による使い分けが一番、と今は考えています。

矯正装置は壊れます。強い、あるいは変則的な力が加わると、その力が歯にダメージを与えないよう装置自体が壊れると理解してください。従って時々壊れるのです。普通はご本人がすぐ気づき、来院していただいています。

しかし、頻繁に壊れたのでは来院が面倒です。そこで、どの矯正装置も壊れにくさと壊れやすさのバランスが重要なのです。

矯正治療が終了すると装置を外します。しかし、まったく何もなしとはなりません。治療結果を保つための簡単な装置を入れます。これが保定です。保定に使う装置は種々ありますが、大変簡単な装置です。自分で付け外しできるタイプがよく見られます。保定に入ると、それまでほぼ毎月だった来院が間遠になり、3~6ヶ月おき程になります。もちろん費用は下がります。非常に楽になるので、保定の期間は治療期間と考えないのが普通です。

歯の裏に細いワイヤを固定する保定は、使用感は少ないのですが維持力が弱く、壊れても気がつかずに歯列が変形することもあります。専門医は、プレートタイプあるいは透明シートを歯の形に整形したタイプをよく使います。維持力が強く、また着脱式ですからやむを得ない場合は外せるなど、長所が多いタイプです。使用は24時間が標準です。ただし、食事、歯磨きの時間は外します。途中から家でのみ使うなど、時間を短縮することもよくあります。

矯正装置、特にマルチブラケットを付ける日は、期待と不安でドキドキするでしょう。実はドクターにとっても特別な日なのです。それは、この日が格別に時間と集中力を要する日だからです。マルチブラケット装置を付けるには、まず奥歯にバンドという金属環をセットし、そのあと各歯にブラケットという小さな部品を貼り付けていきます。

バンド作成とブラケットを適切な位置に付ける処置は、極めて熟練を要し、熟練しても十分な時間が必要なのです。従ってドクターは、体力と気力を集中してことにあたります。ぜひ遅れずに来院いただきますよう、ご協力をお願いいたします。

主要装置は、種類が多くありません。その中でも金属ワイヤーの装置(エッジワイズ装置)が圧倒的に性能が高いため、最も使われています。補助装置は色々です。

(1)主装置の分類
・金属のワイヤーを使うもの(歯に貼り付ける部品には見えにくい材質が使われる)とプラスチック主体のもの
・歯の表に付ける装置と裏側に付ける装置
(2)補助装置の分類
・取り外し式のもの、固定式のもの
・口腔外装置と口腔内装置
計画通り歯を移動する能力は、エッジワイズ装置が圧倒的に優れています。ほとんどのケースで使われている理由です。

子ども用装置はさまざまです。

(1)材質による分類:床(しょう)装置やプレートと言われるプラスチック主体のものと金属線主体のもの
(2)使い方による分類:取り外し式のもの、固定式のもの
(3)口腔外装置と口腔内装置:装置が口の外にも出るか、口の中だけに取り付けるのか
(4)大人用のエッジワイズ装置を一部に使うこともあります。
以上が主な分類でしょう。症状と成長段階を考え合わせ、最適と思われるものをチョイスします。複数を組み合わせることもあります。

治療中について

基本的に痛みはありません。痛い状態を我慢しながらでは続きません。しかし例外が1つ、大人の矯正治療に使うマルチブラケット装置を付けたとき、歯の部分が鈍く痛い、噛むと痛い、など感じることがあります。しかし数日でなくなります。

子どもの矯正はいろいろな装置を使います。金属装置は占有スペースが小さくて良いですが、反面歯が動き出すときわずかに痛みを感じる場合があります。気づかず過ぎてしまうケースの方が多いようです。現代の矯正治療が世界中に広まり信頼されている理由の1つに、この無痛性を挙げて良いでしょう。そのうち歯が動き出すとそれが楽しみとなり、気持ちが切り替わってくるようです。安心して矯正治療に入ってください。

確かに治療途中で気分が縮むことはあるようです。治療中止まで至れば、大きな無駄をした気分になると思います。しかし、そう滅多にありません。特に、毎回の経過と見通しの解説に力を入れている医院の場合は、少ないと言ってよいと思います。また、少し治療が進んでくると、むしろ終了が楽しみになるようです。年単位の時間が経過する間に、多少の気分のむらが生じることは当然です。それでも乗り切れるのが普通と考えてよいと思います。

主に固定式の装置の場合は問題です。結論的にはきちんと歯磨きをし、医院で管理していれば大丈夫です。取り外したあともきれいです。

装置をつけたまま歯磨きを怠り、医院の管理も受けない場合、装置の周りが白く脱灰して残ることがあります。さらに進むと本当の虫歯になります。また装置を壊れたままにした場合、不測の事態がありえます。普通に通院し、歯磨きをしていれば上記のような事態はまずありません。

結論は歯ブラシだけで足ります。小さめのヘッドのブラシを細かい動きで、角度を変えながら、歯と歯の間、ワイヤーの下に気をつけて磨くことで十分です。電動歯ブラシもOKですが、大きいので細かく動かしにくく、かえって磨き残しに注意してください。

そのほか、歯間ブラシ等のさまざまな便利グッズがあります。使うなとは言いませんが、なるべく歯ブラシを使い慣れてください。シンプル・イズ・ベストです。

矯正治療は、最低でも半年、普通は1年半~2年半くらいかかります。短い時間ではありません。これは歯を安全に正確に動かすため、生理的に必要なやむを得ない時間なのです。歯は、根の部分に破骨細胞、造骨細胞が交互に出現して移動します。急げばもう少し早くできますが、歯の根にダメージを与えてしまうかもしれません。医療なのですから、大事な歯の健康を害することはしてはなりません。

都市部では、短期間でできるなどの宣伝を見ることがあります。人間の生理的条件は誰も同じです。急ぐあまり歯の健康を害しては何にもなりません。案ずるより産むが易しといいます。実際に始められた方々は、すぐに割り切って生活の中に許容される方がほとんどです。

矯正治療での通院は月に一度がほとんどです。大変わかりやすいやり方です。しかし、それ以外に大きな理由があります。

矯正治療は、ある程度以上の力を加えることで歯が動き出します。しかし動かし続けてはいけません。休みを入れながらが最も歯に良いのです。現在の矯正ワイヤーの多くは、装着しておよそ1~2週間経つと力が大きく減少します。すると歯は動きを止め、治療に休みが入るのです。ひと月ごとの通院なら、歯は十分休んでまた動くこととなり、歯に大変良いのです。

弾力性が長期維持するワイヤーを使い、長期間歯を動かし、通院間隔を広げる方法もあります。弱い力なので悪影響はないといいますが、歯が動く以上、ある程度以上の力は十分にかけているはずです。休みなく歯を動かすことになるのは、疑問が残るというべきでしょう。

子どもの矯正について

子どもの矯正治療は、I期治療とII期治療で構成されます。

I期治療はすべての場合に行います。上下の顎の骨の大きさ、位置関係を適切にします。その結果、歯の並び方、位置関係も適切になります。そして残りの永久歯が生え揃うのを待ちます。

II期治療は必要な場合に行います。既に上下の顎の骨の大きさ、位置関係が適切になっているので、あとは永久歯をきちんと並べ、噛み合わせを良くしていくのです。

I期治療は土台である骨が対象、II期治療は歯(永久歯)が対象といって差し支えないでしょう。

反対咬合の多くは、上下の顎骨のアンバランスが原因です。骨格のバランスを変えるには、成長を利用する必要があります。従って成長発育する時期に治療を始めるのが最適で、成長期を過ぎてしまうと外科手段の併用などを考えなければなりません。

しかし、いつが成長期なのかは個人差が大きく、なかなかわかりにくいものです。身長の年ごとの伸び量の変化を見る、手の骨の成長状態を見る、女子では初潮の時期などを合わせて考えるなどの作業がどうしても必要です。早めにご相談いただくのが良いでしょう。

子どもは、第一に土台である顎の骨の大きさ、上下の位置関係を整えます。その結果、前歯と奥歯の見た状態が良くなります。歯が生え揃ったら、良い歯並びを作ります。土台ができていればかなり良い結果が得られます。大人の場合より歯を抜く必要は少ないでしょう。

大人は骨格が動かせないので、文字通り歯を動かして良い歯並びを作ります。できるだけ歯を抜かずに行いたいですが、スペース不足などでそうもいかない場合があります。使う装置が違いますが、一番大きな違いは以上でしょう。

結論からいえば間違いです。治療に適した時期を逃すことになるからです。ほとんどの場合、不正咬合は歯の位置の異常だけではありません。土台である上下の顎骨の大きさ、位置関係にも問題がある場合がほとんどです。矯正治療では、この顎骨の問題をどの程度解消できるかが、歯を抜く必要の有無、歯の移動の量と方向など、治療内容と結果に大きく影響します。

子どもの場合は成長を利用し、顎骨の大きさ、位置関係に良い変化を起こすことは比較的容易です。その結果、歯を抜かずによりよく噛めるきれいな歯並びを達成しやすくなるのです。

矯正治療はもちろん何歳からでも可能ですが、治療上の選択肢は、子どもの頃、特に背が伸び出す前が一番多いのです。この良い時期を逃すのはもったいないです。

矯正治療は、最低でも半年、普通は1年半~2年半くらいかかります。短い時間ではありません。その間に受験が入ってくることはよくあります。人生の重大事ですから、どなたも気にされます。しかし現実は案外簡単です。実際の受験時に2ヶ月くらい来院不要の状態にしておく以上のことが必要だったことはないのです。

矯正装置は長期間装着が予定されるもので、どれも装着感は最小限に工夫されています。また痛みはありません。付けた直後は少し違和感を感じるようですが、子どもはものの15分、大人でも長くても1~2週間程度で慣れます。受験生でも同じなのです。装置を付けたまま、どんどん志望校に合格されているのが実情です。

案ずるより生むが安し、ということわざがありますが、これが当てはまる代表的な場面が矯正治療と受験の関係といって間違いないでしょう。

子どもの矯正の目的をきちんと考える必要があります。子どもの矯正の目的は、歯の土台である上下の顎骨のバランス・大きさを、成長期を利用してできるだけ整えることです。前歯や奥歯がきれいに並ぶので、子どもの矯正は歯を並べるだけ、と思っておられる方がいますが、実は治療の目的は、歯の土台である骨格にあるのです。

成長期に上下の顎の骨格を整えておけば、永久歯がとても並びやすくなります。歯を抜いて矯正治療する必要が減り、噛み合わせの具合は一段とよくなるのです。見た目もよりよくなります。

以上から、子どもの矯正、大人(およそ中学生以後)の矯正と二段構えで治療することの良さがおわかりいただけると思います。ちなみに費用はほぼ同じです。

その他

「口唇の筋肉が弱く、出っ歯の程度がきつくなった」「舌が強く下前歯を押し、受け口につながった」などの場合、MFTで唇の筋肉を強化し、あるいは舌の動き方を訓練することがあります。

MFTは毎日きちんと実施すれば、ひと味違う結果が得られます。ただ毎日単調な訓練を数十分ずつ、年単位で反復するのは大変で、ほとんどの人はすぐ飽きてしまいます。意思が強く継続できたとしても、MFTだけで不正咬合を治すことまではできません。

つまり、MFTは治療の主役にはなりません。重要な脇役ですが、矯正装置の効果促進、結果安定に奉仕するのが限度とご理解ください。

皆さんの多くは、歯を磨くときに毎回歯磨き粉を使っているでしょう。今では当たり前に使っている歯磨き粉。一体いつから使われるようになったのか、不思議に思ったことはありませんか?

最初に歯磨き粉が市販されるようになったのは1873年、コルゲート社から発売されました。この名前、どこかで聞いたことありますか?

それよりも1500年以上前に、古代エジプトで使われていた世界最古のものと思われる歯磨き粉のレシピは、原料として、岩塩・ミント・乾燥させたアイリスの花・粒胡椒などを細かく砕いて混ぜ合わせていたそうです。なんだか、お口の中がスッキリしそうですね。

今ではドラッグストアに行くといろいろな種類の歯磨き剤が売られているので、どれを選んだらいいか迷ってしまいますね。

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